◎ 相続人間の分配を公平にする手段
 (公平な遺産分割の方法)



相続財産の「持ち戻し」 と 遺産相続の「寄与分」



■ 特別受益とは?



  • 相続人の中で、被相続人から生前に下記の生前贈与を受けている者がいる場合

    ● 特別受益の範囲
     (1) 婚姻 ・養子縁組のための贈与
     (2) 生計の資本としての贈与
     (3) 遺贈



    ◆ 特別受益がある場合の相続分の計算方法

  • 相続開始時に現に存在する遺産額に、特別受益を加算して、「みなし相続財産額」 を算出し、これを基礎に各自の相続分を算定する。

  • ● <計算例>・・・相続時の遺産の額に特別受益額を戻し入れ(「持ち戻し」)する
    特別受益の額 ⇒ <相続開始時の時価> で加算
    <条件>
      相続開始時の遺産 : 5500万円     相続人 : 妻と子供3人(ABC)
        特別受益分  A :300万円     B :200万円
      みなし相続財産 : 5500万円+特別受益分(300万円+200万円)=6000万円

    <各自の相続分>
  • 妻 : 6000万円×2分の1=3000万円
  • A : 6000万円×2分の1×3分の1−300万円=700万円
  • B : 6000万円×2分の1×3分の1−200万円=800万円
  • C : 6000万円×2分の1×3分の1=1000万円




  • ■ 寄与分とは?



  • 相続人の中で、被相続人の事業や療養看護などに特に貢献した人がいる場合

    ● 寄与分の認定
  • 相続人の次の行為によって、財産の維持 又は 増加が図られたこと
     (1) 被相続人の事業に関する労務の提供 又は 財産上の給付
     (2) 被相続人の療養看護
     (3) その他の方法



  • ◆ 寄与分がある場合の相続分の計算方法

  • 相続開始時に現に存在する遺産額から、寄与分額を減算して、「みなし相続財産額」 を算出し、これを基礎に各自の相続分を算定する。

  • ● <計算例>・・・寄与者には、法定相続分に 「寄与分を上乗せ」 した額を配分額とする
    <条件>
      相続開始時の遺産 : 6500万円  相続人 : 妻と子供3人(ABC)
        寄与分  A :500万円
       みなし相続財産 : 6500万円−寄与分500万円=6000万円

    <各自の相続分>
  • 妻 : 6000万円×2分の1=3000万円
  • A : 6000万円×2分の1×3分の1+500万円=1500万円
  • B : 6000万円×2分の1×3分の1=1000万円
  • C : 6000万円×2分の1×3分の1=1000万円




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    特別受益 及び 寄与分制度は、生前に贈与を受けていたり、寄与(貢献)が合った場合に、それらを加味した上で、遺産の分割が複数の相続人間で公平になるように設けられた制度です。



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    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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